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お彼岸のご挨拶 ~コロナウイルスによせて~

 こんにちは。
 コロナウイルスの影響で不穏な日々をお過ごしかと存じます。

 

 各地で行事や催し物が延期や中止となり、当山においても感染予防のため、三月以降の「写経会」「ちょっと坐ろう会」「禅×YOGA×アーユルヴェーダ」「唯識セミナー」など屋内で執り行われる行事、人が多く集まる可能性のある「エンユウ・マルシェ」などの屋外イベントはすべて開催を見合わせています。
 今後の状況に応じて再開の目処が立ちましたら、改めて日程等をお知らせいたしますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 全国各所において感染拡大を防ぐ取り組みが日に日に本格的になってきていますが、その一方で、先行きが全く見えないまま非日常的な生活が続くと精神的にも鬱積がたまってきます。テレビやネットでは不安に拍車をかけるような報道が連日飛び交い、社会的にも人間関係がギスギスしてきているように感じます。最近は「コロナ鬱」「コロナ疲れ」という言葉も見かけるようになりました。そういう中での生活は、コロナウイルスはもとより、ココロウイルスにも気をつけなければなりません。

 

 今回つくづく思うのは、人間というのは不安とか心配事が大好物だということです。もちろん被害が拡大することを本当に求めているわけではないでしょうが、ニュースを見るたびに感染者数が増加していくのを心のどこかでひそかに期待してしまったり、感染者の住まいや仕事先をネットで探しまわったり、必要がないのに不安のあまりにトイレットペーパーやマスクの買占めに走ったり…。人間にはそういう心理が働いてしまうのです。
 
 これは想像に過ぎませんが、スーパーでトイレットペーパーを奪い合っている人や、マスクが売り切れていて薬局の店員さんに当たり散らしている人をテレビで見ていると、そういう人ってもしかすると普段生活しているときよりも生き生きとしているんじゃないかなと感じてしまいます。
 

 おそらくこれまでの生活でも、将来のことや、お金のことや、家族のことなど、いろいろな心配ネタはあったと思います。でもそれよりもはるかに大きく、未知なる心配事があると、まるで今までの心配事はどうでもよかったかのように、新しい心配事のほうに心がシフトしていくのです。結局のところ現実逃避したいだけなのかもしれません。そうやって知らない間に次々と心配事を求めてしまうのがココロウイルスの感染です。
 
 「このままでは日本はもうおしまいだ」「政治家たちが間抜けている」「あっちの国のほうがもっと酷いぞ」と私たちは心が暗くなるニュースをどんどん欲してしまいます。なんだか不安や恐怖を趣味にしているようにも思えてきます。人間って本当に面白い生き物です。
 

 正しい計算ではないと思いますが、ある人が、コロナウイルスに感染するのは交通事故に巻き込まれる確率の 一〇〇万分の一ぐらいだと言っていました。確かにそうかもしれません。外出するときはマスクも必要ですが、それよりも車によく注意して歩いたほうがいいのです。

 

 そう楽観的でいられるかどうか、コロナの感染拡大の行く末は予測不可能です。検査していないだけで実は目の前の人が感染しているかもしれないし、自分が感染しているかもと思うと不安でなりません。
 

 でも、いくら心配したからといって、それで物事が解決するわけではありません。
 

 そんな不要な心配事に時間を費やすよりも、もっと他に時間の使い道はありそうです。せっかく楽しみにしていた計画や行事が次々と中止になるのは確かに寂しくもありますが、ぽっかりと開いた一日を、ずっと本棚に飾りっぱなしだった本をゆっくり読んだり、目的もなくブラブラと近所を散歩したり、何も考えずにボーッとしたり、この機会に今までしなかったこと、できなかったことに心を配ってみたらどうでしょう。これまでいかに予定に縛られて生活していたのかということがよく分かると思います。  

 

 「コロナのせいで」という思いは確かに強いかもしれません。でも、こういう事態が生じたことで、これまでの働き方が変わってテレワークやラッシュをなくす時間差出勤が積極的に考えられるようになりました。子どもは学校や塾からしばし解放されてのんびり遊べる時間が得られました。ウイルス除去をきっかけに部屋をきれいに掃除しようとか洗濯をまめにしようと心がけるようになった人もいるでしょう。不要不急の集まりができなくなったことで、義務的で無意味な会合を見直すきっかけにもなるかもしれません。「コロナのおかげ」もけっこうあるのです。

 

 とにかく、この事態はいつか必ず終息します。それまで心を落ち着かせ、ちょっとひと息ついて、嵐が過ぎ去るのをゆっくり待ちましょう。 
 
 こういう時こそ、お墓参りがおすすめです。お彼岸の行事に関しては中止も延期もありません。お墓は屋外で風通しも抜群。人混みもありません。

 

 そして、ご先祖様といくら濃厚接触しても感染の危険性はゼロです!

 

 ただ、交通機関だけは感染予防にお気を付けてお越しください。
 

 檀信徒の皆さまの安全と健康を第一に、穏やかなお彼岸をお過ごしいただけますよう心よりお祈り申し上げます。

 

                                        圓融寺住職 阿 純章

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